「美しさの秘密」に魅せられて
小さなハープ教室の片隅で、カラリコロリ
美しい音を響かせてくれる『コシチャイム』。
“黄金比(φ)”という言葉を初めて知ったのは、たしかデザインの勉強をしていた頃。
1:1.618…というこの不思議な数に、自然界も芸術も、古代から現代まで魅了され続けてきたことを知って、私もすっかり心を奪われました。
“目に見えない美しさ”の法則
それは、ガウディ展で見た建築の数々にも通じるものでした。自然の中にあるような曲線や、計算されているのにどこか“感覚的”なデザイン──
視覚的美しさと『数学』との美しい関係
そんな黄金比と、“音の世界”
音の世界も、その周波数や音階等、
数学の世界ととても密着しています。
黄金比との出会いがきっかけとなり、完成された楽器という『コシチャイム』
そのちょっと不思議で美しい誕生物語、
とても素敵なストーリーで、
ご紹介させて頂きます。
響きは “直感” と “美” から生まれた─ コシチャイム誕生の小さな物語
まだ「コシチャイム」が生まれる前のこと。
ある夏の夜、南フランス・ピレネー山脈のふもとにある芸術の町セレで、テラス席に座って食事をしていた作者は、隣にいた男性と自然に会話を交わすことになりました。
その方は建築家、空間の比率やバランスに深い理解を持っている人物で、作者の風鈴づくりの話に興味をもち、ふとこんなことを言ったのです。
「“黄金比”を取り入れてチャイムを作ったことはありますか?」
そのひと言が、作者の中にまったく新しい視点をもたらしてくれるきっかけに。
建築家の彼は語ります。
「φ(ファイ)という数は、ふたつの長さの間に生まれる“美しいバランス”を表すもので、建築や芸術の世界で何千年も前から使われてきました。レオナルド・ダ・ヴィンチもこの数を使っていたんですよ」
そして彼はこう続けました。
「音の響きや質に、どんな影響があるかわかりません。でも、試してみる価値はあると思いますよ」
その言葉がきっかけとなり、作者は黄金比について研究を始めました。
とはいえ、「円筒形のチャイム」にどうやって黄金比を適用すればいいのか、情報は見つからず…。
やがて、黄金比に詳しい専門家に助言を求めたところ、驚くべきことが起こります。
チャイムの半径を伝え、「黄金比に基づくなら、長さはどれくらいになりますか?」と尋ねたところ、
返ってきた答えは――
なんと、作者が長年、直感だけで作っていた長さと、ほぼぴったり同じ。
この偶然のような一致に、作者は背筋がぞくっとするような感動を覚えたと語っています。
さらに作者は
「自分の直感は、確かだったのかもしれない。
私は普段、何かを盲信することはないし、迷信を信じるタイプでもありません。
けれどこの出来事だけは、無視することができませんでした。」
と。
こうして作者は、より豊かな響きを求めて、円筒の長さをφ(黄金比)で拡大し、風に揺れるセンサー部分のしずく型など、チャイム全体の形にもこの“美の比率”を取り入れることにしたということです。
このエピソードを作者はこう結んでいます。
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直感について、ブレーズ・パスカルは素晴らしい言葉を残しています。
“Le cœur a ses raisons que la raison ne connaît point”.
フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの有名な引用、心、感情がしばしば理性や論理だけでは理解できない独自の理由を持っているという考えを表現しています。
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